考え・主張

10000時間の法則あれこれ

皆さんは10000時間の法則という物をご存じでしょうか?。

10000時間の法則は、イギリスの元新聞記者・マルコム・グラッドウェル氏が「天才! 成功する人々の法則」という本の中で紹介した、何かを卓越するには10000時間の実践ないしは練習が必要だという法則の事です。

私はこの本を読んだ時に、本当だろうかという風に思いました。

というのも、私はサッカーや将棋が好きで良く観ているのですが、例えばサッカーでも、将棋でも天才といわれる人達がいます。こういう天才と呼ばれる人達は、10000時間練習したから天才と呼ばれているのか?。それとも天賦の才が生まれつきにあって成功したのか、と思ったからです。

「平均10000時間の法則」

この事がずっと気になっていたので、ときおり調べたり、関係のある書籍を読んでみたのですが、ある時、この10000時間の研究をしていた人の書籍を読む事が出来、ある程度、腑に落ちました。

まず、10000時間の法則は厳密に言うと、「平均10000時間の法則」だという事でした。研究によれば、何かのスキルに卓越するようになるには、最短で3000時間、また最長で23000時間かかる事もあり、平均して10000時間ぐらいかかるとの事でした。

何のジャンルでも、早くしてトップクラスに立つ天才的な人がいます。彼らはそれまでずっとそのジャンルで活動してきた人達をいとも簡単に、追い抜きます。

これは、ただ練習量が多いだけでは、トップに立つ事が出来ない証明になってると思います。

本当に10000時間で天才になれるのか?

さて、人間はだれでも10000時間で天才になれるのでしょうか?。ここも疑問が残りますね。

これにも、ある程度の解答が出ていて、先述の書籍によると、そもそもこの10000時間の法則というのは、心理学者のアンダース・エリクソン教授(フロリダ州立大学)らが1993年に発表した研究によるものだそうです。

この研究結果を簡単にまとめると、バイオリン奏者の学生らを調査して、国際的に活躍したり、プロとしてやっていけるバイオリン奏者と、そうでない人はどう違うのか検証した結果、あきらかに練習時間に差があり、プロとして活躍できる人は「平均10000時間」練習しているというような結果だったそうです。

天才や卓越したスキルを、具体的には国際的に活躍できるという事と定義したわけですね。

国際的に活躍できるなんてすごい事ですから、それを天才とか卓越したスキルと言っても過言ではないと思います。ただ抽象的な概念ですから異論がある人はいるかもしれませんね。

10000時間の法則を身近に置き換えてみる

10000時間の練習により、卓越したスキルを身につけられるというのは、おおむね間違ってはいないようです。しかしこの10000時間の練習、一般人に置き換えてみるとどうなのでしょうか?

実はこの本を読んだ事がある知人がいて、その人は「私はもう会社員を10000時間働いているからいい」と言ってた人がいて、何がいいのかよくわかりませんが(笑)、会社員を10000時間働くと、会社員の天才になれるのでしょうか?。

多くの会社員は1日に8時間労働をする事が多いと思います。中には残業をする人もいるでしょうから、もっと働く人もいると思いますが、仮に1日8時間働くとするなら、10000÷8時間=1250日となり、1250日働くと10000時間は達成出来ます。1年に250日働くとすると5年で達成する計算になります。

5年会社員をする事で天才会社員になれるなら、けっこうな数、天才会社員がいる計算になりますが、実際にそんな事はないというのは体感でわかります。これはいったいどういう事なのでしょうか?。

営業の待ち時間という話

これは仕事の内容によって分けていないからだと思っています。営業を例に考えてみましょう。

例えば、ある営業マンがいるとします。この人が1日8時間働くとして、実際に営業、つまり商談をしているのは、どれくらいの時間になるのでしょうか?。

おそらくせいぜいの所、1日の半分、営業によってはもっと短い時間なのではないでしょうか。

営業をした事がある人ならわかると思いますが、営業で実際に時間がかかる行動は、移動時間だったり、待ち時間だったりします。業種や会社によっても差があるでしょうが、1日の間ずっと商談をしている営業の方が稀だと思います。

もちろんそれを、だめだというつもりはありません。移動や待ち時間を待つというのも立派な営業の仕事の一つと考えます。しかしながら、それは商談ではないですよね。

営業の天才とか、卓越した営業のスキルを持つ人というのは、一般的に商談が上手い人の事を指すはずです。

もし1日4時間商談をするとして、10000時間を達成するには、おそらく10年かかります。10年営業している商談のプロ。これなら、先ほど出てきた、5年でなれる会社員のプロよりは実感の持てる話になりますね。

10000時間の法則のまとめ

余談なのですが、私はcivilizationというゲームが好きでかなりやっています。今のゲームはプレイ時間が記録として残るので、確かめてみた所1000時間プレイしているという事でした。

もし、このゲームをあと9000時間プレイしろと言われたら、好きなゲームではありますが、とても出来そうにありません。

それを考えると10000時間というのはとても長い時間挑戦しなければいけない事だとわかります。

天才になるには、途方もない努力が必要だとわかりますね。