今回は有名な、ドラッカーの著作から、ある一冊をおすすめしたいと思います。
それは、『非営利組織の経営』という本です。
非営利組織と関係ない人にもおすすめの一冊
経営やマーケティングに興味があるけれど、何から手を付けていいかわからない。そんな人におすすめなのが、この『非営利組織の経営』です。
それを聞いて、いや、私が知りたいのは通常の会社の経営やマーケティングなんだよと、お思いの方もいらっしゃるかも知れません。
しかし、ドラッカーの書籍を通して読んでみると、経営に営利か非営利かは、さほど差がない事がわかります。
ドラッカーの書籍を全部読んだ事のある私から言わせてもらえば、ドラッカーの経営に対する考えは一貫しているといえます。
それゆえ経営やマーケティングに興味がある方は、是非この『非営利組織の経営』を一読する事をおすすめします。では、なぜそんなにおすすめだと言えるのか説明していきたいと思います。
ドラッカーの書籍の中でも群を抜いた平易さ
巷にはドラッカーの書籍よりも、ドラッカーの解説本の方があふれています。しかし、私はそういった解説の書籍を読むよりも、実際にドラッカーの書籍を読む事をおすすめしています。
それはドラッカーが意識的に自分の著作に専門用語や数式を出す事を避けている為、どのような状況の人にもわかりやすい本になっている為です。
実際にドラッカーの書籍を読んでみれば、言葉が難しくて辞書を引いたり、他の本を読んで調べたりするという事は、全くないはずです。
もともとそのようなドラッカーの書籍ですが、ボランティアや学校といった非営利組織の関係者にかかれた為か、本書はさらに読みやすくなっており、分量も他のドラッカーの著作に比べて少ないです。
本書の構成
第一部 ミッションとリーダーシップ
第二部 マーケティング・イノベーション、資金源開拓
第三部 非営利組織の成果
第四部 ボランティアと理事会
第五部 自己開発
本書の構成はまず、組織としてのミッションは何かという事を明確にするという事から始まり、そのミッションを達成する為の、マーケティングやイノベーションをどうしたら良いか、具体的な成果をどう定義するか、非営利組織の人事や理事会はどうしたら良いか、そして最後に非営利組織にいる人間として、どのように能力を高めるべきか、という順番で書かれています。
非営利組織はどうしたら良いかという切り口で書かれてはいるものの、ドラッカーの大著マネジメントとおなじ考え方が貫かれています。
ドラッカーの『マネジメント』はとても分量が多く、特殊な事柄について書かれていますが、本書『非営利組織の経営』に関しては要点を抑えてわかりやすい内容になっています。
第二部では、資金源開拓等があげられます。普通の会社では募金活動等はありませんが、資金源開拓にもマーケティングが必要として、どのようにマーケティングをする事が必要かが書かれています。
この部分は、専門用語等は使われておらず、わかりやすい文章で書かれているため、マーケティング初心者にもわかりやすい文章になっています。
第三部では、非営利組織においての成果とは何かと定義づける話になっています。ドラッカーは本書に限らず、成果をどう定義するかという事を重視していて、どの書籍でも成果の定義に注力しています。
一見成果の定義とは簡単に見えますが、ドラッカーは意味のない目標や、既に達成してしまって、ほぼ伸びしろがないような事を成果と定義づけ、それを目標にしてしまう事で、失敗や停滞をまねくと考えているようです。
第四部では、ボランティアと理事会となっていますが、メインは人事の話になっています。人の育成やトップの継承等、話は多岐にわたります。「辞めていく人のコピーを後継にすえてはならない」等の警鐘はとてもかんがえさせられます。
第五部の自己開発では、自分自身の能力をいかに高めるかという話になっていて、個人的には、ここが一番人におすすめしたい箇所でもあります。
まとめ
この本の最後で、ドラッカーがある聖職者にあい、その聖職者の方が、10年おきに教会をたてたり、大学で働いたり、小さな村に引っ越したりと場所を変えながら成長し、また社会に貢献した人の事を書いています。
この本は非営利団体やボランティアの為の本ですが、人が集まって何かをする時、成長や貢献が必要なんだという事を主軸に書かれた本です。
もし、自分の成長や貢献に迷った人がいたなら、是非この本をお勧めしたいとおもいます。